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2019年10月31日 (木)

D.Hicks(1991).「Kinds of Narrative: Genre Skills Among First Graders From Two Communities」を読む(A.McCabe&C.Peterson(編),『Developing Narrative Structure』,Lawrence Erlbaum Associates)

著者は、ジャンルに関する言語知識は社会文化的に子供に構築されるものであり、異なる文化背景の子どもはジャンルに関して異なる知識を身に付けているのではないかという仮説を立て、2人の小学1年生の子どもの発話を分析しています。

Hicks, D. (1991). Kinds of narrative: Genre skills among first graders from two communities. In A. McCabe & C. Peterson (Eds.), Developing narrative structure (pp. 55-87). Hillsdale, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.

概要

著者は、低所得世帯のアフリカ系アメリカ人の小学1年生(Cynthia)と、中流家庭の白人アメリカ人の小学1年生(Jessica)に対して、サイレント・ムービーを見せ、その内容をニュース・キャスターのように報告する課題と、ストーリー・テラーのように報告する課題を与え、その語り方の違いを分析しています。また、サイレント・ムービーを見ながらスポーツ・キャスターのように実況するという課題も行っています。

結果としては、2人の小学生の間には各課題でそれぞれ語り方に違いが見られました。詳細についてはこの記事では省略しますが、著者はこの結果は2人の所属しているコミュニティーの慣習に基づいているのではないかとしています(ただし、同時に、今回調査対象に選んだ2人の小学生の個人的な特性も影響している可能性についても指摘されています)。(個人的には、今回の結果だけではこのように主張するのはやや強すぎますし、単純化しすぎているように思うのですが)著者の結論を下に引用しておきます。

"In line with previous research suggesting sociocultural differences in oral narrative styles ..., perhaps Cynthia and Jessica represent differing cultural traditions. For example, Cynthia's ability to manipulate temporal sequence and her emphasis on the internal motivations of characters may stem from her participation in a culture in which telling an engaging story is on some occasions equally as important as telling the facts (Forster, 1989; Heath, 1981, 1983). Jessica's emphasis on providing a detailed description of events may stem from her participation in a community in which factual accounts of events are highly valued (Heath, 1986)" (p. 82)

 

 

 

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貝澤哉(2006).「19世紀後半から20世紀初頭のロシアにおける文学教育と文学の国民化:ギムナジアにおける文学教育カリキュラムをめぐって」を読む(『スラヴ研究』)

ロシアにおける「文学の国民化」のプロセス及びその特徴が、様々な行政文書や教育組織の報告書等に基づきながら、丹念に記述されています。文学と国家の関係(または愛国心の涵養のための文学の利用)について考えさせられる非常に貴重な研究です。また、ロシアはこのプロセスにおいて文学史を教育で扱うようになるのですが(著者も指摘しているように、文学史は愛国心教育や国民意識の自覚化に都合のよい教科・学問です(p. 85))、その中で特に19世紀文学(特に19世紀後半の作品)を重視したという特徴があり(しかも中世文学などに費やす時間を削減・削除してまでも19世紀の文学を重視した)、その原因についても掘り下げられています。ロシア・フォルマリズム等の背景について学ぶために、この論文を読ませてもらいました。

貝澤哉(2006).「19世紀後半から20世紀初頭のロシアにおける文学教育と文学の国民化:ギムナジアにおける文学教育カリキュラムをめぐって」.『スラヴ研究』,5361-91

概要

ロシアでは「文学の国民化」が1860年代から90年代の間に急速に進行したとのことです。その要因として、以下の3点が挙げられ、本論文は3点目を詳細に調べたものとなります。

  1. 出版業界の発達、読者層の拡大による文学の大衆化
  2. ロシア文学史研究という学問の出現
  3. ロシアの文学教育の変化

19世紀のロシアでは、もともとギムナジアにおいて文芸理論(修辞学、作文、作詩法)が教えられていたのですが、ここに接ぎ木される形で文学史が扱われるようになりました。そして、文芸理論と文学史が、共存、対立しながら、徐々に文学史の扱いが拡大していったという流れとなっています。しかし、文学史の拡大プロセスはなかなか進展しませんでした。その理由として、文学史を扱えば、当時の現代文学であった革命主義的作品や自由主義的作品を教育課程の中で取り上げざるを得なくなり、そのイデオロギー的内容を扱うのが行政側としては危険と判断したことなどがあったようです。

すでに触れたように、ロシアでは教師は19世紀(特に後半)の文学を重視した文学史教育を求めました。ですが、文学の国民化、民族的特殊性の強調、といったことを考えれば、中世など古い時代の作品の方を重視した方がよいのではないかという疑問が浮かびます。中世などの内容を縮小・排除してまでも19世紀にこだわった理由として、著者は以下の点を指摘しています。

  1. 学問として成立したロシア文学史をベースに文学史教育がギムナジアで始まったが、文学史は19世紀に成立した学問なので、そもそも中世よりも近代が重視されていた
  2. 中世の作品は文芸理論でも題材として扱われていたが、当時の生徒が退屈を示していた

さらに、19世紀のロシア文学は次のような背景からも重視されるに至ったようです(pp. 79-80)。

  1. 文学が政治的なメッセージの担い手としての機能を奪われ、文学自体の内部的な問題に閉じこもろうとした動きが強まってきたこと(ですので、当初心配されたほど、イデオロギーなどについて扱う必要がなくなってきたということと私自身は理解しています)
  2. 文学研究の領域において、ヴェセロフスキイの歴史詩学やポテブニャを中心とするハリコフ学派で、文学を修辞学の手本や歴史・社会的思想史の資料として扱うのではなく、文学作品や言葉そのものの持つ美的特性を解明しようとする研究が増えてきて、近代文学が研究対象とされることが多かった。
  3. 生徒もロシア文学の美的な評価を優先する姿勢が強くなっており、何か書かれているかよりもいかに書かれているかを重視して、19世紀の文学がその格好の関心の対象となった。
  4. 19世紀ロシア文学の国際的評価がかつてないほど高まっており、西欧の文学と並んだ、または西欧文学追い越した、と考えられていた。

なお、19世紀のロシア文学は全人類的普遍性を美的に取り上げているということで、その国際的評価が高くなったようです。こうなりますと、民族の固有性を涵養するという観点から言うと、近代以前の内容を短縮・排除してまで19世紀の文学を重視するのは少し変に思えます。しかしながら、上記4点目に挙げたように、国際的な評価が高まったのは、19世紀文学に対してであり(そして、19世紀ロシア文学が、当時ロシア国民が世界的に誇ることのできる数少ない事象の1つでもあった(p. 88))、「19世紀ロシア文学は国民的アイデンティティとのかかわりにおいてとりわけ重要なものとなっていった」(p. 81)ことがその原因にあると考察されています。まさに、このことが文学史をカリキュラムに導入うにあたって、19世紀ロシア文学が殊更重視されたことの最大の理由と考えられています。

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2019年10月30日 (水)

J.M.Carpenter,C.Green,&K.Fitzgerald(2018).「Mind-Reading Motivation: Individual Differences in Desire to Perspective-Take Influence Narrative Processing」を読む(『Scientific Study of Literature』)

本論文では、読者のmind-reading motivationMRM)(= "the willingness to effortfully engage with other people' perspectives and mental states" (p. 211)、他者の視点を取るための技能ではなく、あくまでも意欲である点に注意ください)の強さが物語の読解処理にどのような影響を与えるのか、どのような読者が物語に影響を受けやすいのか、という点に関する調査が報告されています。合計で4つの調査からなる論文です。調査材料についても様々なものに言及があり、研究に役立ちます。本論文の文献詳細は以下の通りです。

Carpenter, J. M., Green, C., & Fitzgerald, K. (2018). Mind-reading motivation: Individual differences in desire to perspective-take influence narrative processing. Scientific Study of Literature, 8 (2), 211-238.

概要

研究の背景や調査方法の詳細は省略し、本研究で示された結果を列挙しておきます。

  • higher MRM was correlated with more fiction reading but not more non-fiction readingp.211, 実験1より)
  • individuals who are motivated to take the perspective of others (high MRM) appear more likely to seek out, enjoy, and become transported into narrative worlds. These high MRM individuals are not more likely to enjoy nonfiction reading, however. (p. 219, 実験1より)
  • higher MRM was associated with greater transportation into a narrative. (p. 211, 実験2a2b3より)
  • MRM was associated with both higher transportation and narrative persuasion (p. 211, 実験3より)
  • The effect of MRM on persuasion is mediated by connection to the characters. (p. 211, 実験3より)
  • MRM is related to the process of engaging with fictional outgroup members and subsequent prejudice, but the exact nature of this relationship above and beyond the effect of political orientation is unclear. (p. 228, 実験3より)
  • narrative transportation also mediated the effect of MRM on attitudes. (p. 229, 実験3より)
  • readers with higher MRM were more connected with the perspective of the protagonist of a story, which also was associated with increased adoption of attitudes expressed by and implied in the emotions of that character (p. 229, 調査全体より)

本研究の結果を受けて、著者は "Rather than testing whether reading literature leads to greater understanding of other minds, the current studies suggest that a curiosity about other minds may lead individuals to enjoy narratives." (p. 230) と述べています。 

また、本研究で得られた結果と類似した結果は、affect ("a dispositional tendency to seek out emotion-inducing situations" (p. 230))でも得られており、"individuals higher in need for affect show higher transportation and persuasion, particularly with stories that contain high levels of emotional content (Appel & Richter, 2010)" (p. 230) と紹介されています。そして、本研究の結果と合わせて、以下のように述べられていました。

"That line of research and the current one highlight two of the potential pathways for narrative influence: Narratives can both create emotional responses and help readers forge bonds with characters, and these two types of engagement (which are not mutually exclusive) can increase narrative impact (Green & Brock, 2000)" (p. 230)

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2019年10月21日 (月)

A.Bell,A.Ensslin,I.van der Bom,&J.Smith(2019).「A Reader Response Method Not Just for ‘You’」を読む(『Language and Literature』)

2人称で書かれたデジタル・フィクション(geniwate and LarsenによるThe Princess Murdererが題材として取り上げられています)におけるyouの解釈について、読者はyouが登場人物を指すと感じるのか、読者自身を指すと感じるのか、その両方が混在した形に感じるのかがリカート・スケール及びインタビューで調査されています。取り上げた作品が殺人事件を描いたものであり、ページを移動することで殺人が進むという構成の特殊な作品であったためか、調査参加者はyou(物語中でyouという人物が殺人行為をしています)が自身を指すと感じる一方で、何とかその対象を物語世界中の別の登場人物を指すように考えたいとする葛藤が観察されています。2人称小説の研究はまだあまり進んでいないようですが、その効果を今後明らかにしていく上で重要な研究であると思います。文献情報は以下の通りです。

Bell, A., Ensslin, A., van der Bom, I., & Smith, J. (2019). A reader response method not just for ‘you’. Language and Literature, 28 (3), 241-262.

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2019年10月18日 (金)

稗島一郎(1988)『英語学への招待:現代英語学研究序説』を読む(ニューカレントインターナショナル)

英語学の概論書です。例が大変豊富で、読んでいてとても勉強になります。また、linguisticsphilologyの違いの説明も大変分かり易いです。本書で取り上げられているのは、音声学・音韻論、形態論、統語論、意味論、文体論(実際には修辞学と言った方がよさそうです)、英語史、方言学、心理言語学、社会言語学、です。個人的に本書で特徴的と感じたのは、統語論では、Reed and Kellog's Diagramと直接構成素分析がかなり詳細に説明されていること、文体論のセクションでジャンルのバリエーション及びその歴史的発達について概略が説明されていること、方言学のセクションでは英語の様々な変種が取り上げられていること、です。どの章も大変勉強になりました。本書の文献情報は以下の通りです。

稗島一郎(1988)『英語学への招待:現代英語学研究序説』.ニューカレントインターナショナル.

 

 

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2019年10月16日 (水)

金明哲・村上征勝(2003).「文章の統計分析とは」を読む(甘利俊一・竹内哲・竹村彰通・伊庭幸人(編)『言語と心理の統計 ことばと行動の確率モデルによる分析』岩波書店)

計量文体論の発展のレビューが行われた後、文章の特徴抽出の方法と統計分析方法について様々な方法が解説されています。さらに、日本語の文章の統計分析がケース・スタディーとして示されています。言及される例は主に日本語(日本文学)ですが、計量文体論について概要を知ることができる構成となっており、勉強になります。

金明哲・村上征勝(2003).「文章の統計分析とは」In甘利俊一・竹内哲・竹村彰通・伊庭幸人(編),『言語と心理の統計:ことばと行動の確率モデルによる分析』(pp. 1-57).岩波書店.

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2019年10月 9日 (水)

S.J.Schmidt(2000).「The Empirical Study of Literature (ESL)」を読む(D.de Geest,O.de Graff,D.Delabastita,K.Geldof,R.Ghesquiére,&J.Lambert(編),『Under Construction: Links for the Site of Literary Theory』,Leuven University Press)

近年はあまり言及されることがありませんが、文学の経験的研究黎明期に、その基盤の確立に尽力したSchmidt先生の論文です。文学の経験的研究はどのように進めるべきで、テクストや意味をどのようなものとしてとらえるべきなのか、ということがシステム論、構成主義などの観点からメタ理論的に整理されています。

Schmidt, S. J. (2000). The Empirical Study of Literature (ESL). In D. de Geest, O. de Graff, D. Delabastita, K. Geldof, R. Ghesquiére, & J. Lambert (Eds.), Under construction: Links for the site of literary theory: Essays in honor of Herndrik Van Gorp (pp. 325-349). Leuven, Belgium: Leuven University Press.

概要

著者は、Norbert Groeben先生の研究に言及しながら、当初は文学の経験的研究は神経科学的なアプローチが主流であったが、徐々に社会文化的・メディア的な側面が前面に出るようになったとその変化を回顧しています(ただし、現在は、神経科学的な側面が再び強くなり、社会文化的・メディア的なアプローチと融和しつつあります)。

また、著者はかつて自身が提唱したaesthetic conventionpolyvalence conventionの概念に関して、これらだけでは文学システム全体をカバーすることができておらず、文学システムをさらに細分化した上でこれら2つの慣習について定義し直さなければならないと述べています(ただし、本論文ではこのことはなされていません)。

現在ではそれほど目新しくはなくなってしまいましたが、著者はこの論文で以下のような点を強調しています。

  • 文学の経験的研究は客観性ではなく、間主観性を目指した科学でなければならない。
  • テクストは理解の誘発剤であるが、それで理解がすべて限定されるわけではない。
  • 客観性を追い求めた意味理解や解釈という行為は無意味である。

ちなみに、著者は他の論文でもそうですが、一貫してテクストの理解をKommunikat-productionという概念を用いて説明しています。個人的にはmental representationsituation modelという概念と近いものと理解していますが、著者自身はKommnunikatに相当する英語の概念は見当たらないとも述べています。なお、この概念には様々な要因(media offers, dspositional factors related to the biography of receivers, cognitive disposition, conventions, strategies)が関わるとされ、詳細が説明されています(pp. 338-339)。

ただ、Schmidtの議論全体を理解するには、この論文のみでは正直難しいと思われます。彼が執筆した他の論文を読む必要があるでしょう。この論文は、やや断片的に議論が展開されている形となっていますので。

 

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2019年10月 7日 (月)

M.J.Bruhn(2018).「Citation Analysis: An Empirical Approach to Professional Literary Interpretation」を読む(『Scientific Study of Literature』)

Wordsworthによる特定の詩に関する批評論文を150年分程度収集し、作品中のどのような表現が解釈に用いられているかを分析し、文学性とは言語的なものなのか(時代や批評理論の流派を超えて同じような箇所が解釈の際に言及されているのか)、慣習的なものなのか(年代や依拠する批評理論の立場に応じて言及される箇所は変化するものなのか) が検討されています。非常にユニークな調査方法による研究です。

Bruhn, M. J. (2018). Citation analysis: An empirical approach to professional literary interpretation. Scientific Study of Literature, 8 (1), 77-113.

概要

この記事では主な結果のみを示しておきます。

・"most kinds of prospective enjambment are more attention-getting and thus more citation-worthy than either nominative noun phrase enjambments or retrospective enjambments, at lease among professional interpreters of Wordsworth’s poetry." (p. 99)

・"The cumulative findings thus yield only slight support for the modified Conventionalist position, in which one's theoretical presuppositions partially determine where and how one pays attention to a text, whereas the findings yield consistently strong support for the competing Formalist/Stylistics position, which holds that foregrounded features of the literary text – in Wordsworth's particular case, prospective enjambments – will dependably capture readers’ attention, regardless of their literary education or literary-critical commitments (Hanauer, 1998)" (p. 100)

・ただし。事実への言及のような内容を含んだprospective enjambmentはあまり注目されない傾向がある。これは抒情詩というジャンルに事実への言及はあまり似つかわしくないと感じられるからかもしれない(事実、Coleridgeは、抒情詩に事実的な内容を含めることについて批判をしている)(p. 105

enjambmentへの注目をアイトラッキングにより調査したKoops van't Jagt et al. (2014) を本研究は別の研究方法で支持する結果となった(p. 109

 

 

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2019年10月 2日 (水)

後藤正紘(2015).「英語のなぞなぞの言語学的考察」を読む(『片平五十周年記念論文集:英語英米文学研究』(片平会(編),金星堂)

英語のなぞなぞが意味論の観点から分類され、多くの面白い事例が紹介されています。

後藤正紘(2015).「英語のなぞなぞの言語学的考察」.In片平会(編),『片平五十周年記念論文集:英語英米文学研究』(pp. 188-204).金星堂.

概要

具体的には、polysemyhomonymyhomophonyparaphonynear homophony)、hahaphonyuniformewe-niformとするように、造語が関わるもの)、混合型、の例が紹介されています。この論文で挙げられている例をうまく使えると、英語の授業を活性化できるかもしれません。

 

 

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2019年10月 1日 (火)

P.Stockwell(2009).「The Cognitive Poetics of Literary Resonance」を読む(『Language and Cognition』)

認知文体論の論文で、resonanceという現象が記述されています。

Stockwell, P. (2009). The cognitive poetics of literary resonance. Language and Cognition, 1 (1), 25-44.

概要

前半で理論について説明し、後半でShakespeare“Sonnet 71” Dylan Thomas“And death shall have no dominion” という作品を取り上げながら、これらの作品においていかにたくみに読者の心にresonanceを作り上げる工夫がされているかが記述されています。

著者はこの論文において、resonanceを次のように定義しています。

“Briefly, this notion refers to the readerly feeling that certain powerful literary texts leave a long-lasting and ineffable sense of significance.” (p. 27)

そして、resonanceが読者の心の中に作り上げられる上では、attentionneglectにより、一度注意の中心にあったもの(attractor)が前景から消えていかなければならないとしています。著者の分析では、特にneglectの中のocclusion(かつてのattractorが明示的に注意の対象外であるということを示されるケース)に注目がされています。

また、詳細はここでは省略しますが、著者はattentionを受けやすいattractorの典型的な特徴がリストに挙げられています(p. 31)。

作品読解後のことも含めた文学読解に関する重要な研究と言えます。

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