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2017年4月28日 (金)

M.イヴィッチ(1965/1974).『言語学の流れ』を読む(早田輝洋・井上史雄(訳),みすず書房)

言語学史研究の名著なのですが、不勉強でこれまで読んでいなかったため、読みました。著者の非常に幅広い知識が存分に発揮され、とても読み応えのある一冊となっています。しかし、なかなかマニアックな情報も含まれているため、言語学史の基本的な流れを理解した上で読まないと、混乱してしまうかもしれません。言語的にはとても読みやすいです。原著者及び訳者の先生の努力の賜物だと思います。

イヴィッチ,M.(1974).『言語学の流れ』(早田輝洋・井上史雄(訳)).みすず書房.(原著は1965年出版)

感想

18世紀までの言語研究についてはかなりコンパクトにまとめられています。19世紀の言語学についても基本的な事項がコンパクトに整理されていました。私が本書の大きな特徴の1つだと思ったのは、20世紀初頭における非構造言語学を1章を割いて詳述している点です。言語地理学、フランス言語学派、美的観念論(フォスラー学派など)、進歩的スラヴ学派、マール主義、実験音声学、が扱われています。特に美的観念論や実験音声学は構造主義言語学の影に隠れて忘れられがちなのですが、このあたりの発展について詳しく書いてあり、とても勉強になります。なお、当然のことながら構造主義言語学についてもヨーロッパ、アメリカ両方のものが詳しく説明されています。また、アメリカ構造主義言語学についてはブルームフィールド学派だけでなく人類学的言語学についても詳しい記載があります。

また、ウィーン学派などによる論理記号主義も簡単に触れられていることと(言語哲学の本ではよく言及されますが、言語学の本ではあまり見かけないと思います)、数理言語学(計量言語学、情報理論、機械翻訳)について詳しく述べられていること、も本書の特徴かと思います。これらのセクションでは、言語学に数学的方法を使う試みがどのように進んできたのか理解することができます。

なお、生成文法については、簡単にのみ触れてあります(原著が1965年ですので、その時点での生成文法についての説明となります)。

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