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2017年4月13日 (木)

K.Knowles,A.K.Schaffner,U.Weger,& A.M.Roberts(2012).「Reading Space in Visual Poetry: New Cognitive Perspectives」を読む(『Writing Technologies』)

具象詩をはじめとした、空白スペースを利用した詩(英語のものが中心のようですが、それ以外のヨーロッパ言語のものも含まれています)を読者はどのように読むのか、アイトラッキングを使って分析した研究となります。理論編もマラルメなどに言及しながらかなり詳しく書かれています。14名の人文学を専攻する大学院生が調査参加者となっていますが、英語が母語の人もいればそうでない人もいるようです。使用された詩は合計で14篇です。

Knowles, K., Schaffner, A. K., Weger, U., & Roberts, A. M. (2012). Reading space in visual poetry: New cognitive perspectives. Writing Technologies, 4, 75-106.

概要

主な結果のみ紹介しておきます。本論文では次のような結果が示されました。

  1. 読者は、具象詩であっても最初は通常の詩と同様に左上から右下へ移動する読み方を行うが、それではうまくいかないと感じた時に他の読み方(広く全体をゆっくりと眺めるというような絵画を見る時の視線の動き(p. 93)も含めて)を試みる(p. 98)
  2. その詩が特に前衛的なものであれば、通常の読み方をすべきか他の読み方をすべきか(linear decodingかspatial scanningか)非常に戸惑っている様子がアイトラッキングでも確認された(p. 99)
  3. 読者は空白スペースに視点をとどめて意味理解をしていた(p. 99)
  4. 空白スペースを利用した詩をたくさん読んでいるうちに、そのスペースが意味を一つしか生起しないような詩を読者は陳腐であると判断するようになり、逆に意味があまりにも曖昧である場合は非常に圧倒されてしまう場合もあった。(p. 99)ただし、詩の読みが難しいと感じた場合でも、その経験は肯定的に判断されるケースが多かった(p. 96)
  5. 空白スペースを利用した詩には様々なタイプがあるため、そのタイプによって読み方が変わってくるようである(p. 100)

そして、著者は今回の結果を見て、ある意味で前衛的な詩人によって意図された読解プロセスの混乱は、ちゃんと機能しているとしています(p. 99)。非常に斬新な研究であると思います。

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