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2016年10月27日 (木)

A.A.Hill(1985).「Charles Carpenter Fries and the Teaching of Literature」を読む(P.H.Fries(編),『Toward an Understanding of Language: Charles Carpenter Fries in Perspective』,John Benjamins)

C. C. Friesと文学との関わりを紹介した貴重な文献です。Firesによって1949年に書かれた『The Teaching of English』と、1957年に『The Teaching of Modern Languages, Report on the UNESCO Regional Seminar Held in Sydney, Australia, January-February 1957, 7-27』に寄稿された論文をもとにまとめられています。

Hill, A. A. (1985). Charles Carpenter Fries and the teaching of literature. In P. H. Fries (Ed.), Toward an understanding of language: Charles Carpenter Fries in perspective (pp. 27-32). Amsterdam: John Benjamins.

概要

著者は、C. C. Friesの教師としてのキャリアは古典から始まったため、文学に関心を持つのは必然であったとしています。そして、Friesは文学作品の指導に関して、次のような注意点を指摘しているとのことです。

  1. 授業内で学習者が盛り上がっていたとしても、そのことが文学作品の鑑賞に結び付くとは限らない
  2. 教訓や倫理などを指導する教材として文学作品を使用する際には、教師は、作者の視点に関する自身の考えを学習者に押し付けてしまいがちである
  3. 文学作品を使って学習者に豊かな経験をさせれば(文学作品は、行動、感情、考えの生き生きとした具現を伝達し、読者に人生のあらゆる側面を豊かに経験させると考えられています)、文学作品への愛、高い理想への到達、情報の習得を促すことができる
  4. 文学作品を扱う際には、学習者に反応させたい側面を作品から1つだけ選んで指導にあたるべきである
  5. 学習者には文学作品の適切な背景情報が十分に与えられなければならない
  6. 文学作品の言語は話し言葉の構造にも大いに依存している

上記6点目に関して、Friesは文学作品について次のような考えを持っていたようです。

"The essential point is that Fries is insisting that literature is based in speech, and that student and teacher should both be skilled in the relations of writing and speaking in study of literary text. In short, Fires is pointing out the fallacy of Augen Philologie in the study of the beauties of literature." (p. 30, emphasis in original)

Friesは1955年に、"Structural Linguistics and Literary Criticism" というタイトルの講演を行っており、その中ではLeo SpitzerやGordon Missingに言及し、その印象的で主観的なアプローチを批判しているそうです。また、その講演では、poemicsという語を(やや冗談半分ではあったそうですが)提案し、その内容として次のようなものが構想されたそうです。

"'poemics' to designate a more exact method of study, that would focus on the ".. predictably common responses" of a group of readers, and that would be based on full knowledge of the signals, written and spoken, of the English language, which both convey meaning and yield aesthetic pleasure."

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2016年10月26日 (水)

英語音声学・音韻論関係の書籍

この度、英語音声学・英語音韻論について学び直しました。また学び直している最中なのですが、以下のような文献がとても役に立っています。

1. 竹林滋・斎藤弘子(2008).『英語音声学入門』(新装版).大修館書店.
言わずと知れた名著です。英語音韻論の内容も含めながら、分かりやすく英語の音現象について解説されています。

2. 竹林滋・清水あつ子・斎藤弘子(2013).『初級英語音声学』(改訂新版).大修館書店.
上記1の内容を更に初級者向きにしたものです。

3. 窪薗晴夫(1998).『音声学・音韻論』.くろしお出版.
言わすと知れた名著です。形態論の内容も絡めながら日英対照の記述がなされています。

4. 片山嘉雄・長瀬慶来・上斗晶代(1996).『英語音声学の基礎-音変化とプロソディーを中心に-』.研究社.
タイトルにあるように、豊富な文法事項などとともにイントネーションが分かりやすく記述されています。また、会話やナーザリー・ライムを使ったユニークな練習問題が豊富に収められています。

5. 堀江周三(2004).『英語を学ぶ日本人のための基礎英語学』.大学教育出版.
英語学の概説書ではありますが、内容のほとんどは日英比較対照音声学です。フォニックスについても記載があります。

6. 竹林滋(1988).『綴り字と発音のルール:英語のフォニックス』(改訂版).ジャパンタイムズ.
フォニックスの名著です。豊富な事例とともにルールが説明されています。なお、この書籍で説明されているルールは、上記1と2にも記載されています。

7. 神山孝夫(2008).『脱・日本語なまり:英語(+α)実践音声学』.大阪大学出版会.
日本人が英語を発音する際にどのようにすれば自然な音になるのかが説明されています。その説明はかなりユニークなもので、他の書籍での説明とやや異なっており、勉強になります。また、英語音声に関するトリビア的な情報や、日本語と英語以外の言語の音声についても発音の仕方が説明されています。

8. 竹林滋・斎藤弘子(2005).『ルミナス英和辞典第2版:つづり字と発音解説』.研究社.
英語の音声に関する要点がコンパクトにまとめられています。高校生などに持たせるとよいでしょう。

9. 中村駿夫(1959).『英語 万国音表文字 発音記号の正しい読み方』.昇龍堂.
上記8同様に、要点をコンパクトにまとめた書です。ロングセラーの本です。

10. 岡崎正夫(2014).『英語の構造からみる英詩のすがた:文法・リズム・押韻』.開拓社.
生成音韻論に基づいて、古英語期、中英語期、近代英語期以降、の頭韻、脚韻、リズム、句またがり、などが説明されています。それぞれの時代、それぞれの作家に独自のスタイルがあるということをとても分かりやすく示してくれます。

11. 志子田光雄(1980).『英詩理解の基礎知識』.金星堂.
英語詩の言語について、文彩と音声関係(韻律、響き、詩型)に分けて、豊富な具体例とともに解説されています。伝統的なレトリックと韻律論に基づいた記述内容となっています。

12. 渡辺和幸(2002).『英詩のプロソディ-プロは英詩をどう読んでいるか-』.英宝社.
音読のプロは韻律構造通りには詩を朗読しないことが実証されています。また、英詩の朗読方法について具体的なポイントが列挙されています。

他にもこの領域にはたくさんの良書がありますが、まだ目を通せていません。とりあえずここ最近で目を通した書籍のみ挙げてみました。

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