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2015年8月29日 (土)

K.O'Halloran(2015).「Creating a Film Poem With Stylistic Analysis: A Pedagogical Approach」を読む(『Language and Literature』)

近年film poemの作成が盛んにされるようになってきていますが、著者はこれらの作品の制作過程において文体論的分析が欠如していることを問題視しています。著者は、動画によるイメージを作り上げた後(この段階ではあくまでも動画と詩行の結びつけに集中します)、その内容を作品の文体的特徴と結びつけることで、より創造的なfilm poemの作成を指導することができるとしています。なお、この論文では著者自身がPhilip Larkinの "Wants" で作ったfilm poemを披露しています(著者は、この作品に連続殺人的読みを押し付けています)。伝統的な文学研究からすればfilm poemはでたらめなものと切って捨てられそうですが、非常に面白い文学現象であり、言語教育的には非常に有益な言語活動へと発展させることができるものと期待できます。

O'Halloran, K. (2015). Creating a film poem with stylistic analysis: A pedagogical approach. Language and Literature, 24 (2), 83-107.

概要

film poemは次のように定義されています。

"A key feature of a film poem is the juxtaposition of visual images and ideas from outside the poem with its lines, leading to activation of new meanings in the poem. This means a film poem usually exceeds standard perceptions of what the poet intended, becoming a new artwork." (p. 84)

film poemは意外に歴史は古く1921年頃からすでに作られていたようです。著者はfilm poem史を整理しています。また、この歴史の過程で、film poemは様々な用語で呼ばれてきました(p. 85)。

なお、従来の文学研究がexegesis(reading meaning out of the poem) という立場を取って来たのに対して、film poemにおいてはeisegesis (reading meaning into a poem from outside of it) という立場を取ることになります。さらに、eisegesisは、オリジナルの作品に含まれる指示に従うnon-radical eisegesisとそのような指示にまったく縛られることなく作成されるradical eisegesisに下位分類されます(p. 89)。著者はnon-radical eisegesisの例として、Alex RobinsonがWilliam Blakeの "London" を使って作成したfilm poemを紹介しています。また、著者自身が作成したfilm poemはradical eisegesisの例となります。

作品の詳細は割愛しますが、Philip Larkinの "Wants" に連続殺人的読みを押し付けて作った著者の作品は極めてよくできており、特に "Wants" の文体論的特徴とこの新たな読みが妙にマッチしているのがとても面白く感じました。

film poemの作成とまではいかなくとも、eisegesisという立場を(従来のように排除するのではなく)積極的に取り入れていくことで、文学を使った英語教育研究に新たな研究の方向性が見えてくることが期待されます。

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2015年8月28日 (金)

C.J.Price,D.W.Green,&R.von Studnitz(1999).「A Fuctional Study of Translation and Language Switching」を読む(『Brain』)

ドイツ語と英語のバイリンガルが翻訳(単語レベルの翻訳)及び翻訳の方向変換(L1→L2 vs. L2→L1)でどのような脳内活動を見せるのかが調査されています。

Price, C. J., Green, D. W., & von Studnitz, R. (1999). A functional imaging study of translation and language switching. Brain, 122 (12), 2221-2235.

概要

この調査で得られた主な結果は以下の通りです(仮説や研究方法につきましては、本論文を直接ご参照ください)。

  1. "Consistent with [the] prediction, translation increased activation of the anterior cingulate and subcortical structures. However, there was no increase in dorsolateral frontal activity for translation under cnoditions of language switching." (p. 2232)。本論文では、the dorsolateral frontal cortexも活性化すると予測していました。
  2. "Contrary to [the] prediction, activation decreased in the left extrasylvian and temporoparietal cortices regardless of translation direction, and there were no effects of frequency [of words]." (p. 2232) ただし、これらの部位は一度活性してからその活性が弱まっているものと著者らは予測しており、今後はより時間解像度の高い形での分析が必要であると述べています。
  3. "As expected, switching modulated activity in regions associated with mapping orthography to phonology (e.g. the supramarginal gyri). In contrast, translation modulated activity in regions associated with articulation (i.e. the SMA, the cerebellum and a ventral region in the left anterior insula)." (p. 2232)

また、この論文の主眼ではありませんが、L1とL2の意味処理についても結果が報告されています(実は今回この論文を読んだのは、この結果が知りたかったためです)。

"Irrespective of word frequency, the perception of L1 (relative to L2) was associated with increased activation in the left temporal pole and the left and medial superior frontal cortex (BA 9/10)" (p. 2231)

L1ではインプットの理解が進むことがこの原因であると考えられています。ただし、意味理解には脳内の様々な部位が関与しています。この記事では省略しますが、L1とL2での意味処理に関する先行研究結果が整理されています(p. 2231)。

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2015年8月19日 (水)

I.C.Bohrn,U.Altmann,O.Lubrich,W.Menninghaus,&A.M.Jacobs(2012).「Old Proverbs in New Skins: An fMRI Study on Defamiliarization」を読む(『Frontiers in Psychology』)

なじみのある諺、なじみのない諺、なじみのある諺の中の1語を類義語に変えたもの(proverb-substitution)、なじみのある諺の中の1語を変えて意味も変えたもの(proverb-variant)、普通の非修辞的文、を処理する際の反応が比較され、hedonistic fluency hypothesis、foregrounding hypothesis、optimal innovation hypothesisのどれが最も適切な仮説なのか検討されています。なお、なじみのある諺と非修辞的な文以外のものが異化表現とみなされています。ドイツ語母語話者を対象に行われたL1の研究です。調査参加者は、読解処理中の脳賦活状況を調査した直後に、各刺激文に対して美的評価を行っています。

Bohrn, I. C., Altmann, U., Lubrich, O., Menninghaus, W., & Jacobs, A. M. (2012). Old proverbs in new skins: An fMRI study on defamiliarization. Frontiers in Psychology, 3, 1-18. doi: 10.3389/201200204

概要

著者らは、まず3つの仮説を以下のように簡潔にまとめています。

  1. hedonistic fluency hypothesis: "The hedonistic fluency hypothesis states that simply because a stimulus with a high familiarity/typicality/expectedness/exposure is processed faster than a novel or unknown stimulus, it is accompanied by a positive affective evaluation. ... Applying the hedonistic fluency hypothesis to the process of reading, the prediction follows that easy-to-read text is preferred over more difficult-to-read text. ... The main prediction following the hedonistic fluency hypothesis would be that text with low cognitive processing demand is preferred over more difficult-to-read text." (pp. 1-2)
  2. foregrounding hypothesis: "foregrounding theory predicts that a text which is highly defamirialized through the use of stylistic elements will be preferred over text which is easier to read, because it is processed in a more affective manner." (p. 2)
  3. optimal innovation hypoothesis: "The optimal innovation hypothesis, on the contrary, states a non-linear relationship by predicting that the most pleasing text will offer neither a maximum ease of processing fluency nor a maximum degree of defamiliarization, but will provide an optimal combination of both dimensions." (p. 2)

ただし、foregrounding hypothesisに関しては、なじみのない諺の評価が最も高くなると予想されており、個人的にはその操作化に疑問が残ります(この仮説は、ロシア・フォルマリズムやプラーグ学派の議論にその基礎を置いています)。

今回得られた大まかな結果は、以下の通りです。

"we demonstrate that defamiliarization is an effective way of guiding attention, but that the degree of affective involvement depends on the type of defamiliarization: enhanced activation in affect-related regions (orbito-frontal cortex, medPFC) was found only if defamiliarization altered the content of the original proverb. Defamiliarization on the level of wording was associated with attention processes and error monitoring." "(p. 1)

ただし、以下に見るように、詳しく考えるとその結果はmixedなものとなっており、上記の仮説のどれが適切なのか判断することはできませんでした。

まず、hedonistic fluency hypothesisについて、確かに調査参加者は、なじみのある諺を最も美的だと感じていましたが、非修辞的な文となじみのない諺の美的評価の間には違いがなく、著者らは美的判断には処理のしやすさ以外の要因も関係しているようだとしています。

次に異化についてですが、以下のような結果が示されました。

"our results indicate that the technique of defamiliarization effectively draws attention to stimuli that would not have been further considered in their conventional form. We interpret this internal attention shift as a sign of participants entering an aesthetic mode of perception. However, contrary to what a strict interpretation of foregrounding theory would predict, defamiliarization as such does not elicit spontaneous affective evaluation, nor are defamiliarized items generally judged as especially beautiful." (p. 9)

最後に、optimal innovation hypothesisについてですが、proverb-variantはなじみのある諺やなじみのない諺と比べて美的評価が高くありませんでした。しかしながら、自身の情意的記憶に関する部位(the bilateral anetrior temporal lobes、the dmPFC、the medial OFC、the cuneus、the bilateral PHC including the right amygdala)と意味統合(および意味統合による報酬)に関わる部位(the ventral IFG、the medial OFC、)が強く賦活していました。また、proverb-substitutionとproverb-variantを比較して次のようにも述べています。

"although both types of defamiliarization seem to enhance attention, only proverb-variants that included a conceptual mismatch were correlated with affective/moral evaluation. Proverb-substitutions that only provided formal defamiliarization received very low beauty ratings. Fuctional data suggest that this less innovative condition may have been processed as containing errors. Importantly, enhanced affective evaluation does not necessarily result in a positive esthetic judgment." (p. 10)

上記の引用の最後の箇所については、一般に諺には教訓が含まれており、その内容を書き換えることになるproverb-variantは慣習的な意味から離脱するため、否定的にとらえる調査参加者が多かったのではないかと著者は推測しています。また、何をもってoptimalとするのかということが十分に操作化できなかったために、optimal innovative hypothesisを支持する結果が得られなかった可能性があることも指摘されていました。

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津田塾大学言語文化研究所読解研究グループ(1992).『学習者中心の英語読解指導』(第Ⅱ部:実験編)を読む(大修館書店)

津田塾大学言語文化研究所読解研究グループ(1992).『学習者中心の英語読解指導』.大修館書店.

 

 

 

<第1章:文化的スキーマとその読解過程への応用―文化特有の背景的知識を必要とするテクスト(大学生対象)―>

 

著者らは、上級英語学習者と中級英語学習者にユダヤ教の背景知識を必要とする物語文を読ませ、語彙の意味説明と背景知識説明の効果を検証しています。この調査で明らかになった結果は次の通りです。

 

1. 語彙の意味説明は、2つの集団にとってそれほど大きく寄与することはなかった(中級レベルの学習者には少しだけ効果が見られた)

2. 上級レベルの学習者は語彙が分からなくても、すでに蓄えているスキーマの中から適切なものを活性化させ、かつ新しく得た知識と自身のスキーマを相互作用させながらテクストを理解していく

3. 中級レベルの学習者は、語彙の助けを借りても、不適切なスキーマを活性させてしまう

4. 文化的スキーマを与えることは読解過程に大きな効果を与える(上級学習者であってもその効果は大きい)

 

 

また、以上の結果から、次の2点が指導上の留意点として指摘されています(p. 53)。

 

・中級レベルの学生は、自分自身のもつ背景的知識を活用し、語彙などの言語的な助けに頼らずに物語を推測するように指導されるべきである

・上級レベルの学生は、テクストに与えられている手がかりを用いながらテクストを解釈する場合には、文化的スキーマに頼り過ぎることもなく、また、一般的・社会的知識に頼り過ぎることもなく、適切にテクストを理解することが必要であろう

 

 

<第2章:身近な題材と意外性のある題材における読解過程―不適当なスキーマによる解釈のゆがみ(大学生対象)―>

 

著者らは文化的背景を必要とする物語(禁酒法時代にフルーツケーキを作るためにウイスキーを買い求める人物の物語)を読ませ、どのような情報が調査参加者を助けるかを調査しています。主な結果は次の通りです。

 

1. 文構造の複雑さ、語彙の難易、読み始める前の要約は、文化的背景を必要とする物語の理解度に違いをもたらさなかった

2. 理解度を調べるために、多肢選択式問題とリコールテストを行ったところ、両者に対して上記1点目の要因は異なった形で作用していた(1種類の課題に頼って理解度の議論をすることには問題があることが示された)

3. 読み手は、テクストの中で自分になじみのない内容に出会うと、ストーリーの展開に矛盾を起こしてでも、自分の背景的知識に当てはまるように、ゆがめて解釈する傾向がある

4. 比較的英語力が高く、文構造や語彙の理解に問題がないような学習者であったとしても、適切なスキーマを喚起させることができない場合がある

 

 

以上の結果から、次の2点が指導上の留意点として指摘されています(pp. 70-71)。

 

・学生が目標言語での読みを学習するとき、テクストに適切なスキーマを活性化できるような訓練を、もっと取り入れていくべきであろう・・・。単語ばかりでなく、テクストが物語文なら、登場人物の性別、年齢、職業など、場所の設定、季節等を、たとえテクストの中にはっきり描かれていなくても(描かれていないからこそ)どんどん予測させて読ませていく訓練を、十分に取り入れて行きたいものである。

・中学・高校・大学を通じて学習者の目標言語である英語の文化背景的知識を豊かに、正確に教えこんでいくことが望まれる

・中学・高校・大学の教科書、教材を選ぶ際、あるいは作る際に、数多くの研究により明らかにされてきた読解の過程を考慮すべきである・・・。教科書や教材を作成する際、題材が多岐にわたっているか、文法や構文、語彙などが適切であるかどうかなどの点には、かなりのエネルギーが費やされるが、学習者の読解力を向上させる教科書、教材になっているかどうかにも注意が向けられていいのではないだろうか。学習者がすぐれた読み手になるためにはスキーマを活性化する練習となる教材が望まれる。

 

 

<第3章:物語文の読解―「背景的知識と言語知識の影響」「日本語と英語による読解過程の比較」(高校生対象)―>

 

著者らは、文化的変更の少ない物語文(Laura Ingalls Wilderによる『These Happy Golden Years』)を高校生に読ませ、(1) どんなヒントが読解に役立つのか、(2) テクストの背景を知っていることは効果があるのか、(3) 日英両言語においてすぐれた読み手は何がよく読めるのか、を調査しています。

 

著者らは、高校生にオリジナル版、複文を短文に書き換えた版、オリジナル版の冒頭に簡単な日本語の内容説明を加えた版、難しい語を易しい語に書き換えた版、オリジナル版を読む際に英和辞書の使用を許可した場合、オリジナル版の冒頭に挿絵を入れた版、のいずれかを割り当て、テクスト読解後に内容理解の設問に答えさせています(多肢選択式)。また、読んだ文章の題名に気づいた学習者と気づかなかった(または知らなかった)学習者の間の成績の違いも分析されています。加えて、一部の学習者には読解後に同じテクストの日本語版を読ませ、さらに同じ設問を日本語訳したものに解答させています。

 

上記 (1) に関しては、文構造を易しくしたり、挿絵を文章の冒頭に加えることは学習者を大いに助ける一方で、単語の日本語訳はあまり役立つヒントとはならなかったことが報告されていました。著者らは、英語教育への示唆として、「絵や写真など視覚による背景的知識を与える題材は大いに読解練習で活用する必要がある」(p. 79)と述べています。

 

 

上記 (2) に関しては、テクストの背景知識(読んだ文章の題名を知っていること)は内容理解に有利に働くという結果が示されていました。ただし、その背景知識は、文脈の中の微妙な手掛かりを元に登場人物の心理やその場の状況を巧みに推測する設問には影響を与えませんでした。著者らは、深い洞察力を必要とする読みでは、行間を読むなど別の力が必要になると述べていました。

 

 

上記 (3) に関しては、すぐれた読み手は、「全体をつかんで情報を集めて答えを出す問題に力を発揮して」(p. 85)おり、未熟な読み手は、「語彙や表面的表現にとらわれてボトム・アップの作用のみが強調され、得た情報を適切なスキーマと結び付けて有効に使うトップ・ダウンの作用が欠けている」(p. 85)と報告されていました。

 

 

以上のことから、著者は以下の2点を示唆として指摘します。

 

1. トップ・ダウンのスキーマ活性化を促すような読解練習を導入すること

2. 単語の辞書的意味を与えるだけでは読解力を向上させることはできないこと

 

 

ただし、この章では、文化的偏向の少ないテクストを使っているため、他のタイプのテクストであれば結果は異なる可能性が大いにあることを著者らは認めています(p. 80)。

 

 

<第4章:物語文読解における情報処理のプロセス(大学生対象)>

 

この章では、第3章で扱った文章を大学生(使用する文章を読む上でほとんど困難のないレベルの英語力を備えた者)に読ませ、記述式で第3章と同一の設問に解答させています。高校生と結果を比較して、「大学生は主要登場人物の人間関係や心理に関する新情報を読解過程の随所で柔軟に取り入れ、そこから得られたスキーマに常に修正を加えることによって、より深い読みを行っていることがうかがえた」(p. 90)と述べられています。しかしながら、新情報に遭遇する際、保持したスキーマとは合致しないがスキーマを修正するような情報ではない(取るに足らない情報である)とみなして、読み飛ばすケースも見られたことも追記されていました。

 

 

 

<第5章:説明文の読解―日本語による導入の効果(高校生対象)―>

 

この章では、高校生にあまりなじみのない内容の説明文を読ませ、半分の学習者には文章の冒頭で日本語による導入を与えています。そして、その導入の有無が学習者の読解にどのような影響を与えるのかが調査されています。この調査の結果、「日本語による導入は、個々の文による手がかりを基に答える問題ではあまり効果的ではないが、全体に関する問いへの回答ではかなり有効である」(p. 100)と述べられています。ただし、日本語による導入が全体に関する問いの解答に影響を与えるのは、比較的英語力の高い学習者に限定されているようでした。

 

 

また、「外国語学習ではしばしば物語文ばかりを学習者に与える傾向があるが、学習者によっては、適切なトップ・ダウン情報を伴った説明文の読解練習により、外国語の読解がより得意になっていく場合があるのではないだろうか」(p. 108)ともコメントされていました。この調査がなされた時期には、まだ物語文の使用はかなり多かったようです。

 

 

 

<第6章:フォーマル・スキーマ導入の効果―パラグラフ・スキーマを意識的に与えることの有用性(高校生対象)―>

 

著者らによると、当時の学習者はテクストに何が書かれているかまとめるように指示されると、物語文は答えやすいが、説明文は難しく感じるという傾向があったそうです。そこで、この章では、説明文読解力を促すことを目的として、説明文のフォーマル・スキーマの指導の有効性を検証しています。著者らは、フォーマル・スキーマの指導を行った集団と行わなかった集団に、共通の読解テストを受験させ、その違いを分析しています。

 

 

分析の結果、パラグラフ・スキーマは説明文の論理構造および内容把握に有効であるという結果が示されました。特に、トピック・センテンスの指摘、文相互の関係の指摘、要約に大きな効果が確認されました。一方、文章の題の指摘とパラグラフの統一性の理解については、その効果が確認されませんでした。しかしながら、著者は、これらの側面を調査した今回の設問自体に問題があった可能性が強いと考えています(したがって、本来であればこれら2側面についてもフォーマル・スキーマの指導は有効に機能するのではないかというのが著者らの考えです)。

 

 

<第7章:読解のストラテジーに対する認識―すぐれた読み手と未熟な読み手(大学生対象)―>

 

著者らは、読解力(説明文読解力)を調べるための多肢選択式のテストを実施し、上位グループの学習者と下位グループの学習者を選抜します。さらに読解ストラテジーに関するアンケートを行って、両グループにどのような違いが見られるかを調べています。

 

 

その結果、(必ずしも統計的にサポートされているわけではありませんが)「すぐれた読み手は全体的かつトップ・ダウンの傾向を示すのに対して、未熟な読み手は局所的かつボトム・アップのストラテジーに頼る傾向がある」(p. 129)と指摘されています。また、両群の学習者にはいずれも語彙レベルのストラテジーが大きく影響していること、未熟な読み手もトップ・ダウンのストラテジーの有効性は認識していること(ただし、彼らの読みの成果は上がっていない)、も指摘されています。著者らは、全体と局所両方のストラテジーをバランスよく活用できるように指導していくことが必要であると述べています。

 

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2015年8月11日 (火)

S.R.Goldman,K.S.McCarthy,&C.Burkett(2015).「Interpretive Inferences in Literature」を読む(E.J.O'Brien,A.E.Cook,&R.F.Lorch, Jr.(編),『Inferences During Reading』,Cambridge University Press)

熟達していない文学読者が文学読解時にテクストの多重の意味を読み取れるか、どのような条件であればこのことができるのか、といったことが調査されています。L1の研究です。この研究は、イリノイ大学のProject READI (Reading, Evidence, Argumentation in Disciplinary Instruction)の中で行われたものです。このプロジェクトは、"to improve complex comprehension of multiple forms of text in literature, history, and science" (p. 386) を目指しています。

Goldman, S. R., McCarthy, K. S., & Burkett, C. (2015). Interpretive inferences in literature. In E. J. O'Brien, A. E. Cook, & R. F. Lorch, Jr. (Eds.), Inferences during reading (pp. 386-415). Cambridge: Cambridge University Press.

概要

著者らは、テクストから読み取られる意味は読者のテクストに対する姿勢(a literal stanceとan interpretive stance)によって違ってくるというa situated approachの立場を取っています。この立場について次のように説明しています。

"A literal stance orients readers to constructing what the text says based on the propositions and connections among them in the text, using prior knowledge to the extent necessary to create a coherent representation of the situation referenced by the text. An interpretive stance orients readers to what the text means beyond the situation of the specific text and depends on integrating what the text says with prior knowledge of a variety of sorts, including knowledge of motivated human action, text genres and their characteristics, plot structures, character types, moral and philosophical systems, and pragmatic aspects of the communicative event. A situational approach is consistent with assumptions that comprehension is a constructive process reflecting interactions among reader, text, and task occurring in a particular socio-cultural context. Particular constellations of values on these dimensions in a particular reading situation affect the likelihood that readers go beyond taking a literal stance toward text to embrace an interpretive stance (cf. Goldmanm, 1997; 2004). To return to the idea of duplicity of code, a literal stance orients the reader to Schraw's (1997) surface meaning and an interpretive stance to the subtext(s). We assume that a literal stance leads to readers constructing some representation of what the text says as a "prerequisite" to adopting an interpretive stance. Furthermore, whether readers adopt an interpretive stance is probabilistic and depends on readers' interpretations of their tasks and what they require. Readers' task interpretations and their requirements, in turn, depend on readers' prior knowledge of the world, the domain, text genre, and communicative intent of authors and readers as well as their standards of coherence." (pp. 387-388, emphasis in original)

次に、interpretive stanceを取った場合の心的表象について、次のようにまとめています。

"the interpretive stance draws on the literal, but generalizes from it with inferential reasoning that connects or associates the literal with more general tendencies of, or generalizations about, human nature and life's principles that seem to govern the way the world operates. These types of interpretive inferences may serve as "higher-order" organizational structures and provide a basis for creating intertextual connections in that they could be linked to both specific situation models of stories from which they were abstracted as well as to new situation models formed when readeing additional stories either by the same or by different authors." (p. 392)

また、Graves & Frederiksen (1991) や Zeitz (1994) など、文学読解の熟練者の解釈プロセスを調査した研究をレビューし、その研究成果を以下のようにまとめています(p. 395, 397)。

  • literary experts are more likely to adopt an interpretive stance
  • the greater likelihood of literary experts adopting an interpretive stance was specific to literary texts (Hanauerの研究とは異なる結果です)
  • experts have a well-developed knowledge base relevant to literary interpretation, similar to experts in other domains
  • Theory and empirical data indicate that there are at least two critical, epistemological components of literary experts' knowledge base: (1) literary texts are indirect and contain both a surface and a deeper meaning; and (2) authors are purposeful in constructing a surface text that uses conventions for providing clues to deeper meaning
  • literary experts' interpretive stance constitutes an "effort after meaning" that includes an orientation to discover conventionalized textual features and use them to construct multiple meanings that are abstracted away from the specific characters, events, and situations depicted in the surface text
  • even preschool and elementary school-aged children engage in metaphorical thinking and that they "get the point" of Aesop's fables
  • high school students have a welth of strategies for recognizing figurative and symbolic meaning in song lyrics, films, and other forms of popular culture texts. However, they are not explicitly aware of how they know what they know

なお、上記3点目の (2) に関して、Rabinowitz (1987) は、熟達した文学読者は、作者はrules of notice、rules of signification、rules of configuration、rules of coherenceという4つの規則を想定して創作しているということを認識していると考えています。各規則については次のように説明されています。

  • Rules of notice direct readers to pay attention to and prioritize some details, characters, objects, or events over others. Rules of notice - really more heuristics than rules - suggest the potential importance of elements that, for example, appear in privileged positions in a text (e.g., in titles, in first or last sentences of a text), are semantically or syntactically stressed, are repeated frequently, are described in great detail although seemingly obscure or mundane, or that are unexpected or create breaks in the continuity of a text.
  • Rules of signification help the reader figure out how to make sense of things that we notice. Often this involves considering nonliteral, metaphorical, symolic, satirical, or ironic meanings.
  • Rules of configuration help organize initially disparate symbolic elements into recognizable plot or thematic patterns (e.g., the love triangle, the triumph of good over evil) and provide a basis for predictions and expectations.
  • Rules of coherence provide us with ways to reconcile apparent disjunctures and inconsistencies in expectations through metaphor, irony, or through a reframing in which they make sense. This process often points to potential moral, political, or philosophical messages of the text.

また、上記7点目に関して、学習者の意識を高めるために、Lee (2001, 2007) はcultural modelingという指導(="an instructional process for making those strategies explicit as a first step to building on them in adopting an interpretive stance toward the literary canon of school" (p. 397) を提唱しています。

次に著者らは、熟達していない文学読者はどのように文学作品の意味を構築し、どのようなタスクがinterpretive stanceの適用を促すのか調査しています。この調査で得られた結果は、先行研究の結果と合致すると述べつつも、新たな側面も明らかにされています。著者らは自身の研究結果全体について次のようにまとめています。

"literary novices rarely adopt an interpretive stance. However, the findings we report here also provide some intial evidence that when explicitly prompted for interpretations of literary texts, these novices demonstrate evidence of at least early forms of the knowledge of conventions and inference strategies that literary experts provide" (p. 398)

さて、著者らはまずKurt Vonnegutの "Harrison Bergeron" を読み、エッセーを書くように調査参加者に指示し、そのエッセーの内容を分析しています。著者らは、エッセーに関して、Plot、Theme、Argument、Ambiguousという4つの指示(詳しくは、本論文p. 399を参照のこと)を準備し、指示の内容によって、読者のエッセーの内容がどのように異なるのか(interpretive stanceの適用がどのように異なるのか)分析しています。この調査の結果について、著者らは次のようにまとめています。

"The results of this "literary novices" do make inferences related to moral, philosophical principles and can organize their reasoning in support of an interpretive claim. However, they only performed in this way under certain instructional conditions that directed them to this type of response. When the prompt was ambiguos and used the more neutral language "What was this story about?" responses tended toward the literal to a greater degree than toward the interpretive. We hypothesize that literary novices adopt this literalist stance as the "default" mode of response, whereas literary experts take the interpretive stance as the default mode of response. These "defaults" may be related to differences between literary expert and novices in their standards of coherence for literary texts, with experts defining standards that encompass interpretive inferences whereas the standardes of literary novices are at the situation model level only." (p. 400)

次に、著者らはJames HanleyのButterflyかSandra CisnerosのEleven(いずれも改作したもの)を熟達していない文学読者に読ませ、読解中にthink-aloudをさせます。その後、物語を要約し、いくつか設問に答えるように指示しています。その質問の中に、symbol identification prompt(作品が何を象徴しているか探すように指示)とsymbol interpretation prompt(作品が象徴しているとされる事柄を明示した上で、それを解釈するように指示)も含まれており、これらの設問に触れる前と後で調査参加者の反応がどのように異なるかが検討されています。主な調査結果は以下の通りです。

"the majority of participants failed to make any interpretive inferences in the think aloud during their intial reading, and interpretations were virtually nonexistent in the summaries. However, when prompted to identify symbols, over 70 percent of the participants explained the basis for their identification with interpretive inferences. Finally, when provided with a symbol and asked to interpret it, all subjects provided an interpertive inferences." (p. 403)

"The results of this study indicate that during intial processing of these stories, participants were focused largely on constructing a coherent textbase and situation model that reflected a coherent plot. Explanatory inferences filled in gaps needed to connect the events of the story. It was not until they were subsequently prompted to think about symbolic interpretation of characters, objects, and events in the story that participants showed any evidence that they were able to process the information at that level. Responses to the prompts indicated that they were indeed able to identify symbols and reason about their meaning, suggesting that they do indeed have at least some knowledge of literary conventions that signal important elements of a text, however tacit this may be. What novices may be less aware of is that authors use these conventions to convey their message and that complete representations of literary texts include connections to themes and universals about the human condition such as are reflected in what we call here global interpretive inferences." (p. 406)

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2015年8月 7日 (金)

C.Emmott,A.J.Sanford,&M.Alexander(2013).「Rhetorical Control of Readers' Attention」を読む(L.Bernaerts,D.de Geest,L.Herman,&B.Vervaeck(編),『Stories and Minds: Cognitive Approaches to Literary Narrative』,University of Nebraska Press)

著者らは、処理深度に関する調査方法を紹介し、文学研究に関連が強いと考えられる先行研究の結果を紹介します。そして、主にミステリーや探偵小説(特にアガサ・クリスティーの作品)を例に、作者が言語的工夫によっていかに読者の注意をコントロールしているか(謎を設定する段階では特定の情報から読者の注意をそらし、謎の解決部分でその情報に読者の注意を引きつける)を記述しています(なお、著者らはこの論文での議論は他のジャンルの物語でも通用すると考えています)。高校の英語教科書用にミステリー小説を開発する場合には、有益な示唆を与える論文だと思います。

Emmott, C., Sanford, A. J., & Alexander, M. (2013). Rhetorical control of readers' attention: Psychological and stylistic perspectives on foreground and background in narrative. In L. Bernaerts, D. de Geest, L. Herman, & B. Vervaeck (Eds.), Stories and minds: Cognitive approaches to literary narrative (pp. 39-57). Lincoln, NE: University of Nebraska Press.

概要

著者らは、まずsemantic illusionに関する研究(読者の処理深度が浅くなり、刺激に含まれる誤りを見落としてしまうのはどのような時かを調査した研究)をレビューし、読者の視覚的注意を引きつける刺激として以下のものを導き出しています(p. 41)。

  • Items in the physical foreground rather than items in the physical background
  • Items in the center of an image rather than items in the periphery
  • Items that are salient because of theie size, color, unusualness, and so forth
  • Items that do not have any competition from other salienet details acting as distractors

次にText Change Detection Experiementsに関する研究をレビューし、以下のような刺激であれば、読者は情報内の変化に気づくことができるとしています(p. 44)。

  • Using specific typographical features, for example, italics
  • Using specific grammatical features, for example, clefting
  • Using certain types of lexical feature, for example, long words or low-frequency words
  • Using certain types of sentence formatting, for example, short sentences and sentence fragments
  • Placing information in direct speech/thought, rather than indirect speech/thought
  • Using second-person "You" narratives and first-person "I" narratives, rather than third-person narratives

さらに、登場人物がscenario-dependent characters(一見周辺的な働きしかしない登場人物)か、principal charactersかによっても人の注意は左右されることが指摘されています。ただし、前者のタイプの登場人物に奇妙なふるまいをさせたり、そのような記述を付加すれば、読者はその人物に注意を払うようになります。

最後に、ミステリー小説や探偵小説で実際に作者はどのような技法によって読者の注意をコントロールしているかが記述されています。著者らは、主に以下の4つの技法を解説していました(p. 47)。

  1. burying information during the setting up of the puzzle
  2. the use of distractors to direct readers' attention toward a false trail
  3. the use of foregrounding devices at the point where key plot information is revealed as part of the solution
  4. the use of false reconstructions at the denouement that treat infomration as if it were shared knowledge when it has in fact never been presented

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C.Hsu,A.M.Jacobs,U.Altmann,&M.Conrad(2015).「The Magical Activation of Left Amygdala When Reading Harry Potter: An fMRI Study on How Descriptions of Supra-Natural Events Entertain and Enchant」を読む(『PLoS ONE』)

著者らは、ハリーポッターシリーズの超常的現象の場面とそうでない場面を調査参加者に読ませ、その際の脳の活動を比較しています。調査参加者はドイツ人母語話者で、原作とドイツ語訳の両方を調査で使用していますが、この論文ではL1とL2でのデータの比較はなされていません。

Hsu, C., Jacobs, A. M., Altmann, U., & Conrad, M. (2015). The magical activation of left amygdala when reading Harry Potter: An fMRI study on how descriptions of supra-natural events entetain and enchant. PLoS ONE, 10 (2), 1-15. doi: 10.1371/0118179

概要

著者らは次のような仮説を立てており、この論文ではこのことが支持されました。

"we propose that the violation of world knowledge contained in described supra-natural events should increase the cognitive demand of world-knowledge integration, and that the related novelty, unexpectedness, and uncertainty should activate the salience/emotion network, which should further recruit the fronto-paraietal attention networks. Due to the limited temporal resolution of fMRI, we do not intend to disentangle different processes taking place in a sequence. We rather expect to reveal conjoint neural correlates of three processes related to the mental simulation of supra-natural events in the following neural substrates: 1) the knowledge-integration network, with the IFG as the core region; 2) the salience network, mainly including OFC, dorsal anterior cingulate, anterior insula, amygdala, and other subcortical structures which are also highly associated with emotion processing, particularly the amygdala; and 3) the fronto-paraietal attention network, including temporo-paraietal junction (TPJ), inferior parietal lobule (IPL), ventral frontal cortex including middle frontal gyrus, IFG, frontal operculum, and anterior insula." (p. 3)

まず、2つの場面に共通していた脳の反応(つまり、虚構的文学作品を読む際の反応として2つの場面で共通して賦活が確認された部位)について報告がされています。先行研究と一致した結果が得られています。

"bilateral medial paracentral gyrus (BA 6) is associated with encoding written language. Lateral temporal cortex, aTL and dmPFC are associated with multi-modal semantic integration, and are part of the Extended Language Network (ELN). The impact of general emotionality of the passages is reflected in the activity of bilateral orbitofrontal gyrus, and bilateral aTL, which is highly associated with emotional semantic processing." (pp. 7-8)

次に、超常的現象の場面を読む際の脳内処理の報告がなされています。

  • we found 1) two clusters of activation in LIFG and one cluster in RIFG (exactly in BA 45 and 47) associated with increased demand of world knowledge integration; 2) increased activation in the left amygdala, which is part of the salience and the emotional networks; 3) activation in bilateral IFG and IPL associated with increased attention recruited by the salience of supra-natural events in the fronto-parietal attention network. (p. 10)
  • Visual Word Form Area(VWFA)を含むthe left fusiform gyrusに強く反応した部分が確認された。VWFAはタスクによる情報処理負荷(トップダウン処理)か刺激の視覚的情報処理負荷(記号列の長さなどのボトムアップ処理)によって反応が高まることが報告されているが、今回は刺激の視覚的情報処理負荷は2条件間で統制されているため、"We consider it, instead, to be top-down attention-driven, resulting from the effort to resolve the uncertainty or surprise due to the supra-natural events by keeping up the reading process" (p. 10) と解釈する。
  • the left amygdalaの賦活が確認された。この部位の情意的処理と関わりがこれまで多くの研究で指摘されてきた。本論文では、この関わりを文学読解の神経科学的モデルに基づき、もう少し深く考えたい。具体的には、"Violation of world knowledge would activate the salience network, and once a text is accordingly processed as something that interestingly differs from everyday language use, the reader is set in a more receptive mood to perceive and enjoy the affective elements specific to the text. We therefore tentatively propose the amygdala activation in the present data to be a function of salient features of magical events in a text." (p. 10) 、そして、"reading about events so charmingly beyond our everyday life experience lays the ground of gratifying emotional experiences associated with this literature" (p. 10) と考える。以上の一連の議論を踏まえ、"we'd like to suggest thus that an intensified affective processing associated with supra-natural contents can be considered either an effect of discrete emotion - e.g., surprise, ..., or an interaction of affective processing and world-knowledge violatiaon processing when updating a given situation model." (p. 11) と考える。
  • 超常的現象を扱う部分の読解時の方が反応が弱くなった部位も見られた。"The left middle temporal cortex has been associated with more basic language perception as part of the ELN, while the cluster in the right parietal lobe could be associated with autobiographical memory, working memory, semantic integration, default network, or Theory of Mind as well as social cognition processing. We would like to present the following tentative explanation for these effects: Considering the association with processing of autobiographical memory, reading about supra-natural events, in comparison with normal passages, may include less episodic recollection of personal events from one's own life - presumably simply because such events are by definition beyond our experience. It is also possible that texts from the Supra-natural condition impose higher cognitive demand and, thus, deactivating the default network." (p. 11)

以上の結果を受け、著者らは次のようにこの論文をまとめています。

"the brain activation patterns observed here offer a tenttive explanation of why we appearently enjoy this facet of fantasy literature so much: our mental simulations of such supra-natural events occupy our attention network and surprise and entertain us more strongly than comparable fictional, but non-supra-natural literature. Moreover, they particularly activate one brain structure that is not only involved in detecting salient events (which magical events defenitely are), but most intimately linked to emotional and hedonic experience (most people presumably are striving for when reading novels): the amygdala." (p. 11)

"our results can be interpreted as indicating that supra-natural events: 1) recruit greater activity in bilateral IFG associated with the integration of ongoing discourse and world knowledge information; 2) activate left amygdala, which is part of the salience network involving emotion processing and further recruit the fronto-parietal attention netowork and VWFA, suggesting that their novelty and unexpectedness are a source of enchantment, potentially boosting affective reading experience." (p. 11)

"the activation pattern in our results is perhaps best considered as tentative evidence for a repeated mutual interaction of attention to (emotional) salience and world knowledge integration, accompanied by affective processes of surprise and pleasure, between amygdala and the fronto-parietal netwkork across the whole reading process." (p. 12)

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2015年8月 5日 (水)

G.G.Fogal(2015).「Pedagogical Stylistics in Multiple Foreign Language and Second Language Contexts: A Synthesis of Empirical Research」を読む(『Language and Literature』)

外国語教育と第2言語教育を対象とした教育文体論の論文の中で、実証的な13の研究がメタ分析されています。著者は、まだ実証研究は不足しており、かつこの分野の数少ない実証研究はその他のL2研究の実証研究の水準に質の点で達していないと指摘しています。

Fogal, G. G., (2015). Pedagogical stylistics in multiple foreign language and second language contexts: A synthesis of empirical research. Language and Literature, 24 (1), 54-72.

概要

著者は、まず1997年のPALA教育文体論部門(PED-SIG)発足以来の教育文体論の流れについてレビューをします。そして、13の実証的研究のメタ分析を通して、以下の3つの問いについて考察がされています(p. 57)。

  1. What key themes have emerged in pedagogical stylistics studies since the 1997 PED-SIG meeting?
  2. What problems, if any, underlie the claims that support these themes?
  3. What changes, if any, to pedagogical stylistics research might help address the concerns of Hall and others?

上記1点目の問いについては、以下の3点が指摘されています。ただし、教育文体論が言語習得を促すことを直接示した証拠は現在のところまだ得られていません。

  • stylistics as a tool for improving L2 performance
  • stylistics' contribution to building language awareness
  • stylistics as a tool for building academic skills beyond L2 acquisition

上記2点目の問いについては、次の4点が指摘されています。実証研究であっても、結局は研究者の直観に頼った議論に終始する傾向が強く(実証研究であっても、文体論の有意義性といった肝心な部分は結局は研究者の直観に基づいている)、同時にデータの示し方にも大きな問題があることが指摘されていました。

  • underreporting as a catalyst for conclusions based on intuition and trust
  • underreporting in quantitatively oriented studies
  • underreporting of relevant data
  • underreporting of a wider range of L2 contexts

上記3点目の問いについては、以下の5点が提案されています。

  • L2研究で標準とされているような形に則り、もっと多くの人を引き付けることができるような研究実践やデータ提示を行ってはどうか(ただし、実証主義を標榜するわけではない)
  • 更に多くの研究法を採用してはどうか(刺激再生法など)
  • 教育文体論の論文は、ライティングなどにターゲットが限られているため、スピーキングなどにもその関心を拡げてはどうか
  • ESL環境(ほとんどがEFL環境)や大学以外の教育機関をターゲットとした研究が不足しているため、推進していってはどうか
  • 文学の経験的研究などによる外国語教育研究も行われいるため、より包括的な領域として教育文体論を捉え直していってはどうか

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2015年8月 4日 (火)

J.Abutalebi,S.F.Cappa,&D.Perani(2005).「What Can Functional Neuroimaging Tell Us About the Bilingual Brain?」を読む(F.Kroll&A.M.de Groot(編),『Handbook of Bilingualism: Psycholinguistic Approaches』,Oxford University Press)

バイリンガルの脳に関するレビュー論文です。先行研究の結果が、発話課題、理解課題、翻訳・言語選択に分けて整理されています。

Abutalebi, J., Cappa, S. F., & Perani, D. (2005). What can functional neuroimaging tell us about the bilingual brain? In F. Kroll & A. M. de Groot (Eds.), Handbook of bilingualism: Psycholinguistic approaches (pp. 497-515). Oxford: Oxford University Press.

概要

この論文では以下の内容が議論されています。

(A) 脳画像技術の神経言語学への貢献

(B) 言語産出を扱った先行研究の整理

(C) 言語理解を扱った先行研究の整理

(D) 翻訳と言語選択を扱った先行研究の整理

(E) 全体のまとめ

●脳画像技術の神経言語学への貢献

著者らは神経言語学の発展の流れを確認した後、脳画像技術の神経言語学への貢献についてまとめています。脳画像技術は、これまでの解剖学的な研究で示されていた考えが限定的であったことを示してきたと述べています。

"The left frontal convexity is involved in many tasks, such as word generation, semantic and phonemic fluency, semantic monitoring, and verbal working memory. Moreover, language-related activation has been reported also outside the classical language areas, such as in the inferior temporal gyrus and in the temporal pole, in the lingual and fusiform gyri. Furthermore, right hemispheric activation in mirror regions is observed during the performance of most language tasks." (pp. 500-501)

"a neuroimaging experiment of syntax error detection in monolinguals detected the involvement of a selective deep component of Broca's area and a right inferior frontal region in addition to the left caudate nucleus and insula activated only during syntactic processing, indicating their role in syntactic computation. These findings provide original in vivo evidence that these brain structures in fact constitute an integrated neural network selectively engaged in morphological and syntactic computation." (p. 501)

●言語産出を扱った先行研究の整理

著者らは次のような結論を導き出しています。

"There are no differences in brain activity for very early bilinguals (we might assume that these subjects were highly proficient for both languages) and, similarly, no differences for late bilinguals if they are highly proficient in both languages" (p. 506)

"attained proficiency might be more important than age of acquisition as a determinant of the cerebral representation of languages in bilinguals/polyglots. Moreover, the results of the study by Perani et al. (2003) underline that differences in environmental exposure to a language may also account for functional modulation in the cerebral representation of languages, even when age of L2 acquisition and proficiency are kept constant." (p. 506)

●言語理解を扱った先行研究の整理

著者らが導き出した結論は次の通りです。

"in early bilinguals who received equal practice with their two languages from birth a single and common language system appears to be responsible for the processing of both languages. This system extends along a left-sided network comprising all the classical language areas. In the temporal lobe, these include the superior and middle temporal gyri, the angular gyrus, and the temporal pole, a structure that seems specifically engaged by sentence- and discourse-level processing. In the case of late bilinguals, the degree of language proficiency seems to be a critical factor in shaping the functional brain organization of languages because high-proficiency late bilinguals activated strikingly similar left hemispheric areas for L1 and L2, whereas less-proficienct subjects had different patterns of activation for their two languages. In the case of comprehension of extended text (but not semantic judgment), the activation was more limited in the case of L2. This may reflect a less-consistent pattern of activation (as suggested by the results of Dahaene's study) or more limited processing, focusing on a superficial analysis of the less-proficient language. Also, in the case of comprehension, increasing language proficiency appears to be a crucial factor for languiage representation in bilinguals." (p. 508)

また、文法処理の脳内ネットワークの形成に関しては、習得開始年齢が大きく影響するという結果が得られており、臨界期仮説を支持しているとのことです。

●翻訳と言語選択を扱った先行研究の整理

先行研究によると、left subcortical and dorsolateral prefrontal brain regionが大きく関わっているという結果が紹介されています。

●全体のまとめ

著者らは次のようにこの論文をまとめています。

  1. 幾つかの要因がバイリンガルの言語システムの神経基盤形成に影響を与えており、"These factors are mainly represented by the age of L2 acquisition, the degree of proficiency for languages, and the degree of usage/exposure to languages" (p. 512) (ただし、習得開始年齢の影響は文法処理など限定的)
  2. "In the case of language production tasks in general and in tasks of language comprehension, there are differences that appear to be in opposite directions: more extensive cerebral activations associated with production in the less-proficient language and smaller activations with comprehending the less-proficient language. Hence, it may be speculated that this puzzling result may reflect the inherent differences of these aspects of linguistic processing. In the case of "effortful" tasks such as word generation, this difference may be attributed to the recruitment of additional resources." (p. 512)
  3. "In our opinion, the most important contribution of imaging studies of bilingualism to our understanding of language representation in the brain is the observation of aspects of invariance and plasticity." (p. 512)

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