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2013年3月21日 (木)

工藤鉱実(2011).『英語が会社の公用語になる日』を読む(中経出版)

株式会社アドバンスがグローバル企業になることをめざして、社内公用語を英語にするという状況で、それほど英語が得意でない社員が仕事力と英語力向上に奔走する姿を描いた小説です。社内英語教育及びビジネスマンの英語学習をテーマにした作品で、とても面白かったです。シャドウイングなど英語学習訓練法も出てきます。今回は言語分析などは一切行わず、一気に読みました。文学作品のジャンルですので、細かいことは記さずに、文献情報のみを示しておきます。

工藤鉱実(2011).『英語が会社の公用語になる日』.中経出版.

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2013年3月19日 (火)

M.Coulthard(1992).「Forensic Discourse Analysis」を読む(M.Coulthard(編),『Advances in Spoken Discourse Analysis』,Routledge)

非常に有名な法言語学または法談話分析の論文です。以前から興味があったので、読んでみました。

Coulthard, M. (1992). Forensic discourse analysis. In M. Coulthard (Ed.), Advances in spoken discourse analysis (pp. 242-258). New York: Routledge.

感想:法の場で用いられるテクストには部分的または全体的に捏造されたものが存在しています。そして、被告やすでに有罪判決を受けた犯罪者は、取り調べや供述のテクストが警察官によって捏造されているということを訴えるそうです。彼らは、取り調べの内容は真実ではないということを言語学者に示してほしいと望んでいるようですが、言語学ができることは以下のようにまとめられています。 "Thus, the first task of the analyst is to point out that discourse analysis can say nothing at all about the truth of what is said in the disputed text, but can sometimes comment usefully on the truth of diverging claims made by both sides afterwards about the text. In most cases, in demonstrating the inaccuracy, unreliability or impossibility of a claim made about a text, the analyst is able to discredit the text itself as evidence." (p. 243, emphasis in original)

そして、捏造を見つけるヒントとなる事柄について3点例示しています。1点目は、事後作成の文書であるにもかかわらず、逐語的な文書があれば、怪しいと言います。なぜなら、人は言葉遣いを逐語的に記憶することができないからです。しかし、こういった文書は本論文が作成された当時では法廷の場で1つの証拠として認められていたそうです(今はどうなのか私にはわかりませんが)。2点目は、テクストの中に必要以上に(過剰に)情報が提供されている箇所が怪しいそうです(Griceの量の公理の違反)。通常は私たちは会話を円滑にするために不要な情報や既知の情報はわざわざ言語化しないのですが、文書の中にはこの公理を違反して情報が過剰提供されている場合があるそうです。また、否定語の過剰使用が見られた場合も怪しいと著者は指摘します。特に、否定文を使って現実には生起しなかった事柄を語っている場合は要注意のようです(通常、人は「私はあの時~をしなかった」といったような分は滅多に使用しないとのことです)。3点目は、談話構造です。トピックが急激に変わりすぎている場合などは捏造の可能性があるそうです。

法言語学の業績と言えば、Derek Bentley Caseの死後特赦が有名ですが、この言語学の基本的なスタンスについては知らなかったので、とても勉強になりました。

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2013年3月 8日 (金)

瀬田幸人(1997).『ファンダメンタル英文法』を読む(ひつじ書房)

英文法に関する興味深い規則を一冊にしてまとめた本です。とても面白かったです。

瀬田幸人(1997).『ファンダメンタル英文法』.ひつじ書房.

感想:来年から英文法の科目を再び担当することになったので、教科書に使えないかなと思って読みました。非常に面白く、また各章の内容理解ができる練習問題がついているので、教科書として使用したいと思いました。内容としては学校英文法以上の内容で、大学の英文法の授業に非常に適していると思いました。また、学校文法で習う規則をより高度な見地から解説がされていて、英語の先生を目指す人にも非常に役立つ内容だと思います。英文法の知識を深めたい人にはぜひおすすめしたい一冊です。最後に章立てを示しておきます。

第1章:文の構造

第2章:文の種類

第3章:動詞

第4章:完了相と進行相

第5章:名詞

第6章:名詞句

第7章:形容詞

第8章:副詞

第9章:前置詞

第10章:助動詞

第11章:時制

第12章:文の機能

第13章:文の表現法

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2013年3月 6日 (水)

橋内武(1999).『ディスコース:談話の織りなす世界』を読む(くろしお出版)

広大な領域である談話分析を分かりやすく、かつ実例を豊富にしめして概論されている一冊です。談話分析という領域を整理する上でとても役立つ文献です。

橋内武(1999).『ディスコース:談話の織りなす世界』.くろしお出版.

感想:私が特に面白いと感じた点のみを列挙したいと思います。私が特に関心を持ったのは、(1) 「何気なく送っている日々の言語生活を見つめ直して、会話のしくみや文章のはたらきを体系的に考えることも言語研究の一領域となり得る」(p. iii)という指摘、(2) ヨーロッパ言語学は「テクスト」という語を好むこと(p. 8)、(3) フランス語のdiscoursは特定の作家による特定の文章を指すこと(p. 9)、(4) ことばの機能に関する代表的な考え方のリスト(リストにあった時枝の3機能説とWunderlichの12機能説はまだ私は勉強してません。。。)(p. 14)、(5) 修辞学の教科書の多くはジャンルを物語文・描写文・過程文・説得文に分ける傾向があること(p. 51)、(6) レトリック構造理論(rhetorical structure theory, RST)(p. 52)、(7) コミュニケーションの民族史の概説(pp. 81-88)、(8) コミュニケーションの民族史に基づいた日本人の求婚の分析(pp. 84-86)、(9) 会話分析の実例としての電話の始め方・終わり方の日英比較(pp. 89-97)、(10) 会話分析の諸相としての会話の諸相の分析(pp. 99-107)、(11) 非言語コミュニケーションの実例としての空間調節・視線・頭の横振りに関して(pp. 112-114)、(12) あいづちは日本人がアメリカ人よりも2倍多く行い、アメリカ人も滞日日数が長くなるとあいづちが多くなること(p. 114)、(13) あいづちの類型化(p. 115)、(14) フレームの定義(p. 126)、(14) 相互作用分析の実例としてのチュートリアルの分析(pp. 129-131)、(15) 裁判での「真実を語れ」の意味とスキーマの問題(pp. 134-135)、(16) 変異分析の世俗言語学(secular linguistics)としての研究的背景(p. 141)、(17) 選択体系機能言語学に基づいたテキスト分析の実例(電気料金の支払いの催促文や結婚式招待状など)(pp. 149-157)、(18) 漫才の会話分析(p. 176)、(19) 談話辞の定義(p. 189)、です。練習問題も各章末に示してあるので、言語学の教科書として使用するのにもとても向いています。また、本書で扱うことができなかった領域の例として、コーパス言語学、談話記号論、談話の認知科学、応用談話分析、が挙げられていました。最後に本書の章立てを示しておきます。

<第1部 基礎編 談話分析の前に>

第1章:談話とは何か

第2章:ことばの機能と構造

第3章:テクストとコンテクスト

第4章:談話とコミュニケーション

第5章:データの収集と文字化

<第2部 方法論 代表的アプローチの特徴>

第6章:レトリック―巧みに書く・話す

第7章:談話文法―結束性と情報構造

第8章:発話行為論―発話は行為である

第9章:語用論―会話の含意と協調の原則

第10章:コミュニケーションの民族史―いつ、どこで、だれが、どう話すか

第11章:電話の始め方・終わり方―会話分析 その1

第12章:会話の諸相―会話分析 その2

第13章:非言語コミュニケーションの研究―接近・視線・頭の動き

第14章:アコモデーション理論―相手に合わせてものを言う

第15章:インターアクションの社会言語学―フレームをもとに解釈する

第16章:スキーマとスクリプト―背景知識は理解を促す

第17章:変異分析―ハナシの構造を問う

第18章:選択体系機能言語学―レジスター・ジャンル・コンテクスト

第19章:クリティカル言語学―ことばとイデオロギー

<第3部 応用編 さまざまな分野に役立てる>

第20章:法言語学―シャーロック・ホームズの言語学

第21章:文体論―言語芸術の世界

第22章:辞書の中の談話辞―well, y'know

第23章:教科書づくり―英語の会話と読み書き

第24章:残された課題と方法

第25章:まとめ

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