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2010年4月 6日 (火)

J.Culler(1973).「Structure of Ideology and Ideology of Structure」を読む(『New Literary History』)

この論文の詳細は次の通り。

Culler, J. (1973). Structure of ideology and ideology of structure. New Literary History, 4 (3), 471-482.

感想:構造主義者がイデオロギーの構造について議論しようとするときに、そのアプローチ方法(構造主義)そのものが1つのイデオロギーではないかということがしばしば指摘されます。そこで著者は、自らの言説のイデオロギー性について議論している論文をレビューしていきます。具体的には、Roland Barthes、Jacques Derrida、Julia Kristeva、Michael Foucaultなどに言及がありました。

何かについて議論しようとするときに、対象やどの点からその対象を見るかということを必ず設定しなければなりません。そしてこれらが結局イデオロギーによって裏打ちされることになります(これらを設定せずに何かを議論することはできません)。そこで、(ポスト)構造主義者らは、これらを空虚なものであるとか、定義しようとした時点ですり抜けてしまうもの、といった形で扱おうとしてきました。例えば、「解釈」という行為に関して述べれば、"Interpretation is not a matter of recovering some meaning which lies, as it were, behind the work and serves as a center governing its structure; it is rather an attempt to participate in and observe the play of possible meanings to which the text gives access." (p. 477)と述べられていました。

しかしながら、私たちはイデオロギーなどに複雑に裏打ちされた世界に生きているのであり、そこから完全に抜け出ることは不可能であると著者は述べます(p. 481)。そこで著者は、"What we must do is to imagine freeing ourselves from the operative conventions so as to see more clearly the conventions themselves." (pp. 481-482, emphasis in original)、"Rather than try to get outside ideology we must remain resolutely within it, for both the conventions to be analyzed and the notions of understanding lie within." (p. 482)というのが適切な態度ではないかということが結論として述べてありました。

とても面白く読んだのですが、古い論文ですので、現在となってはあまり新鮮味のない議論になってしまっています。また、現在では類似したことが質的心理学などでも別の観点から(もっと分かりやすく)述べられています。ですが、著者が大変明示的に書いていますので、私としては分かりやすかったです。ポスト構造主義文学理論の考えにあまり馴染みのない人にとっては、この論文は何を議論しているのかおそらく理解しにくいと思います。

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2010年4月 5日 (月)

東照二(1994).『丁寧な英語・失礼な英語 英語のポライトネス・ストラテジー』を読む(研究社)

東照二(1994).『丁寧な英語・失礼な英語 英語のポライトネス・ストラテジー』.研究社.

感想:会話の公理(Grice)とポライトネス理論(Brown and Levinson)を下地として、英語での丁寧表現について具体的な事例と共に述べてありました(特にポライトネス理論)。一般向けに書かれているので、これらの理論について知識のない人でも問題なく理解することができます。英語には丁寧語はないと考えがちですが、丁寧表現はちゃんと存在しています。本書では、丁寧表現のポイントとして、相手の「顔」に気をつけること、仲間意識を育むこと、聞き手の自由を尊重すること、が述べられています。また、日本人が英語を話すときに、丁寧なつもりが相手にとって失礼になる場合についても書かれていました。とても面白かったです。英語の授業でも使えるネタが満載です。

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