李(2009)
この論文の詳細は次の通り。
李絳.(2009).「文体分析の概観と実践-ヘミングウェイ、ダフィ、コープの作品を中心に-」.In斎藤兆史(編),『言語と文学』(pp. 31-64).朝倉書店.
感想:この論文では、Hemingwayの"Hills Like White Elephants"を例として、様々な批評方法が紹介されていました。具体的には伝記批評、新批評、元型批評、新歴史主義批評、フェミニズム批評、が紹介されていました。そして、どの批評方法も絶対的なものではないということが指摘されます。次に文体論によってこの短編小説が分析され、その特徴が示されます(p. 40)。著者は、「文体論は社会学的イデオロギーを持たないが、方法論的イデオロギーを持っている」(p. 49)と指摘しています(しかし、この主張は議論の余地があるのではないかと私は思いました)。具体的には視点と焦点化を例とした分析を通して、文体論の紹介がなされていました(この分析自体とても面白かったです)。しかし、文体論とて絶対的な分析方法ではありません。著者は、「研究者の主管に影響される方法論であると自覚し、その局限性を十分に認識(ときには言及)した上で研究を進める前提があれば、文体論研究がテクスト分析において有益な示唆を与えてくれるはずである」(p. 50)と指摘しています。
次にDuffyの'Words, Wide Night'とCopeの'An Attempt at Unrhymed Verse'を例にcontextualized stylisticsの実践がなされ、教育への示唆も与えてありました。分析自体とても面白く、まさに文体論によってむしろ解釈が豊かになるということを実感することができました。著者は最後に「文体論という学問の今後の発展については予測できないが、その可能性は一言で言えばやはり「結合」、つまり他の分野との結合にあると思う。文体論の原点の一つが言語学であるので、言語学が学問として発展すれば、文体論もその知識や手法を吸収するであろう。」(p. 62)と述べてありました。
著者は、何か一つの主張をする際に、必ず事例となるような分析を示しており、非常に説得力がある章となっていたと思います。著者の分析もとても面白く読みました。とても勉強になりました。


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