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2008年2月28日 (木)

直塚玲子(1980).『欧米人が沈黙するとき-異文化間のコミュニケーション』を読む(大修館書店)

本書の詳細は次の通り。

直塚玲子(1980).『欧米人が沈黙するとき-異文化間のコミュニケーション』.大修館書店.

感想:知る人ぞ知る名著ですよね。特に1980年代に執筆されたコミュニケーションに関する日本の著書や論文ではしょっちゅう引用されている一冊です。もっとも、30年前近くの本になりますので、本書に書かれている異文化間の誤解が、当時よりも国際化が進んだ現在でも同程度に当てはまるかは分かりませんが、日本と欧米の根本的な違いということを認識する上ではとてもよい本だと思います。

基本的に日本と欧米では、言葉への信頼の置き方、論理の重視、個人vs.全体、ウチとソトという考え、相手主体vs.自己主体、など、キーポイントとなる違いがあり、それが様々な言語行動に反映され、相互の誤解の元となっているようです。具体的に本書で取り上げられていたのは、感謝の表わし方(「この間はどうも」)、人間関係の潤滑油としての謝罪(「すいません」)、謙譲表現、潤滑油としうての依頼(「どうぞよろしく」)、プライベートな質問、誘い方・断り方、苦情の述べ方、イエス・ノーを言わないこと、「ご意見をどうぞ」と言われたときに述べる謝辞について、個人に全体的な質問を問うこと、根回し、酒をともなったコミュニケーションについて、です。どれも興味深い考えだし、英語教師がオーラル・コミュニケーションの授業中に知っておくと授業に幅が出るだろうなと考えられるものでした。機能別あるいは場面別の英語教育が流行っていますが、挨拶ひとつ取るにしても、そのあり方に関しては日米で違うわけですから、そういった違いを生徒に認識させることがとても大切なことかもしれませんね。

ただ、著者は、日本が欧米のコミュニケーションの在り方を認識するだけでなく、外国人も日本のコミュニケーションのあり方を認識すべきだという立場で書いていて、僕としてはとても気に入りました。何でも欧米式に合わせろという立場については僕は反対しているので、とても共感できました。

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2008年2月 4日 (月)

斎藤兆史(2000).『英語達人列伝 あっぱれ、日本人の英語』を読む(中央公論新社)

本書の詳細は次の通り。

斎藤兆史(2000).『英語達人列伝 あっぱれ、日本人の英語』.中央公論新社.

感想:本書は、明治から敗戦までの期間に特に活躍した日本人の英語達人(しかも、日本国内で英語を勉強した結果英語の達人になった人たち(ただし白洲次郎は例外))の勉強法や彼らのの活躍ぶりをまとめたものです。扱われていた名人は、新渡戸稲造、岡倉天心、斎藤秀三郎、鈴木大拙、幣原喜重郎、野口英世、斎藤博、岩崎民平、西脇順三郎、白洲次郎でした。いずれも見事な英語の使い手で、とても面白く読めました。ところどころに著者の英語教育への意見も述べられています。また、日本はすでに明治36年(1903年)頃から、英文学と英語学が分裂し始めたということも述べてありました(p. 86)。英語を生業としている私としては、このような読み物はとても面白く読むことができました。

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