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2007年1月22日 (月)

2007年1月20日土曜日

今日の読み物:

橋田浩一(2001).「言語処理の計算モデルの概観と今後」.In辻幸夫(編),『ことばの認知科学事典』(pp. 451-460).大修館書店.

感想:この分野に関してはほとんど背景知識を持っていません。しかし、その研究の進展を知ることができました。この論文では、主に記号論的アプローチが扱われており、コネクショニスト・モデルは扱われていませんでした。とても面白かったです。

ライアン,M.(2006).『可能世界・人工知能・物語理論』(岩松正洋(訳)).水声社.(原著は1991年出版)第3章(テクスト宇宙の再構築-最小離脱法則)

感想:「テクスト世界の中に、現実世界の対応物が出てきた場合、特に断りがない場合はその対応物を極力現実世界のものと同じものとして解釈せよ」という原則の説明がなされていました。とても興味深い法則で勉強になりました。しかし、この最小離脱法則は、現実世界の情報だけでなく、あるジャンルの中で構築されてきた情報(つまり間テクスト性の問題ですね)も投射することを可能とするそうです。そうすることによって、御伽噺の中でお姫様に性的描写を求めないというようなことも説明可能となります。この章では、間テクスト性と最小離脱法則は相補的なものとして扱われていました。また、この最小離脱法則は挑戦することも可能であり、そうすることで『不思議の国のアリス』などの話も取り扱い可能となります。最後に、この章では虚構と反事実文や夢の報告を区別していました。虚構では、虚構世界での一人称代名詞は、作者の対応物としてみなされないが、反事実文などでは、一人称代名詞は話者の対応物とみなされるということでした。

Ellis, R., & Barkhuizen, G. (2005). Analysing learner language. Oxford: Oxford University Press. Chapter 1 (Introduction)

感想:この本は、分析方法を学ぶことを通して第二言語習得論についての知見を読者に深めてもらうことを意図して書かれたそうです。なかなか、興味深い構想の本だと思いました。この章で述べられていた興味深いことを箇条書きで挙げますと、「第二言語習得」のい二つの意味(研究対象としての意味と研究分野の名前としての意味)、概して第二言語習得論は学習者のimplicit knowledgeの解明に関心がある、学習者言語の変異性の3つの扱い方、学習者言語の2つの見方(表出と内容)、などがありました。また、最も面白いと思ったのは、"in SLA the ties between research design on the one hand and data collection methods and methods of analysis on the other hand are relatively loose" (p. 12)という言葉でした。これは、第二言語習得論には様々な理論的立場があることに加えて、"a belief in the validity of learner language as the primary source of evidence for L2 acquisition" (p. 9)ということがあります。後者に関しては、第二言語習得論は自然状況で発話された言語データを最良と考えるので、どのような理論的立場の研究であろうと、どのような研究目的であろうと、どうしても質的なデータ収集方が関わってきます。また、その後に数量化したりすることで、量的な分析方法などが関わってくるかもしれません。この指摘はとても重要ですね。英語教育学もしかりで、だからこそ研究法などの知識というのは重要になってくるのでしょうね。

Wodak, R. (2001). What CDA is about - A summary of its history, important concepts and its development. In R. Wodak & M. Meyer (Eds.), Methods of critical discourse analysis (pp. 1-13). London: Sage.

感想:タイトルの通り、CDAとはどのような学問分野なのか、どのような問いを扱うのか、といったことが素描されていました。CDAは1991年のシンポジウムを正式な誕生の時としているようです。それ以前にも個別の研究がなされていたり、Critical linguisticsがあったりと、前任者はいるのですが、CDAとして体系的な研究がなされはじめたのは1990年代に入ってからとのことです。また、その理論の根底には選択体系機能文法、フランクフルト学派、Foucaultなどの批評理論がかなり影響を与えているようです。CDAはlanguage as social practice (p. 1)と言語をみなすことからスタートし、その言語が社会や歴史の中でどのように生成されるのか、といったことを扱うそうです。また、CDAの中にもいくつか学派があるようで例として、The Duisburg school(Foucaultの影響を強く受けている)が揚げられていました。とても新しい分野ですし、活気もあるし、とても読んでいて心地よかったです。

今日のエンターテイメント:

●日本人同士でThe Grad Bar&私の部屋でお酒&会話をしました。とても楽しかったです。

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